
建築には、単なる材料の堆積でしかない沈黙の建築、用途を満たしてその性格をはっきり表現した語る建築、そして芸術的感銘があふれた歌う建築がある、といったのはフラ
ンスの詩人ポール・ヴァレリーである。そして「きみはこの街を散歩するとき、街に群
がる建物の中で、あるものは黙し、あるものは、これが一番まれであるが、歌うという
ことに気づきはしなかったか」と、建築への思いをつづっている。 詩人の鋭敏な感性によってとらえられた印象とはいえ、それは建築の魅力や楽しさを教
えてくれる。きみもこのような関心を持って街中を歩いてみてほしい。きっと今まで気にもとめなかった建物の一つ一つに対し、いろいろな思いや考えが浮かんでくるだろ
う。これこそが建築を学ぶことの始まりであり、目標でもあるのだ。
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